亜州南溟日記

以前FC2でアジア南溟通信というブログを書いておりましたがコチラへ引越ししました。アジアで沈殿してる中年オヤジです。

カテゴリ: 昔話

今から24年前の今日、香港のアパートで一人テレビを見ているとドアが突然開き、当時遠距離恋愛の関係になった韓国女リー・ヒョンファ(李賢和)がひょこっと顔を出した。えっ?ソウルに居るはずのヒョンファがなぜここに?オレ夢でも見てるの?と疑ったが、しかし頬をつねろうが頭を叩こうが現実なのである・・。

 嬉しそうな表情で「仕事で来た!」と言ってスーツケースを広げると、中にはかなり派手目の水商売っぽい洋服が詰め込まれており、半年前まで働いた香港の韓国クラブ國賓(クッピンと言う)の同僚に売りつけるのだ!と言ったのだが、筆者の口から出た第一声はなんと情けないことに「お前税金どうすんだ?」であった。

 何故ならヒョンファは香港の所得税を払わずに帰国したからだ。同僚ホステスと違いヒョンファはいちおう宝石屋の店員と言う合法身分があって、そこでは幾ばくかの見せ金ならぬ見せ所得があるために納税をしなきゃならないが、韓国人お得意の最後の請求書は踏み倒して逃げる!を実践していたからだ。

 なお彼女は生まれながら貧乏神が取り憑いていて、店でナンバーワンになろうが財布の中はいつも空っぽで、さらにタチが悪いことに近しい人間さえも貧乏にしてしまうため、赴任したてでたんまりカネがあるはずの筆者が1年も経たずに日本の貯金ゼロ、毎日香港の口座残高を見てはハァ~・・とため息をつくようになってしまったのだ。

 別に貢いでるわけじゃないのにド貧乏になってしまう・・。それでヒョンファと会うのは出張で東京に行くついでにカラ出張でソウルによる時だけの関係となり、あと3万円でどうやって半月凌いでいくか?なんて精神的に参る日々を過ごしている最中に彼女が突然香港に来たのだから、そりゃアタマに真っ先に浮かぶのはおカネの事である。

 それでしばし醜い言い争いのなったのだが、会いたくて会いたくて仕方がないから来た!エイプリルフールだから驚かせてやろうと思った!というだけで、その結果こっちがどうなるのか?とか、このハデハデな服を売って上がる利益と払わされる税金額が釣り合わない事とかとにかく何にも考えてないのだ。

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それで同僚の香港女に確認したところ「ああ、それは出国できないわね!」と快活に笑われ、さらに昨年9月まで香港にいたのだから踏み倒した一昨年の税金のみならず昨年分も上乗せになる事、税金が用意できるまで拘留されること・・をトクトクと説明されたのだが、どうしよう、おれ3万円しか無いんだけど・・とため息をついたのだ。

 そしたら「いいわよ!あたし刑務所行く!」とか「会いたいって思う事が行けない事なの!」「抱きしめてくれるかと思ったのに!」と泣きわめきだしたが、かと言ってヒョンファの元同僚ホステスたちが助けてくれるはずもなく、結局嘆いたって何の解決にもならない訳で、で、・・近現代史にみる日韓関係のような結果になりましたよ。

 筆者が他人に借金を申し込んだのは人生ただ一度この時だけで、それは実に屈辱的な体験でございましたが、それで1週間滞在したのちヒョンファは晴れて出国し、その後もう2回香港に服売りに来れたのだけど、その後筆者の貧乏さはドンドン加速していき、半年後についにもう限界!ってとこまで来たので別れたのだ。

 で、筆者が何でこんなつまんない話を書いてるのかというと、これって韓国人の思考パターンが良く出ているのだ。税金を踏み倒せば二度とその国に行かないはずだが、そこまで考えられない。そしてもう入国できないからオレが韓国に行く形でしか会えないね・・と何度も話して納得したはずなのに、一旦「会いたい!」と思ったらそれが絶対的な正義になってしまい、理性とか約束なんて頭から消えちゃうのである。

 筆者が貧乏になっていくことについて「申し訳ない」と痛感しているのだけど、でも会いに行けばもっと貧乏にしてしまう!というところまで頭が回らないのだ。で、そうなった後は「刑務所行く!」とか感情的に泣き叫ぶだけ・・とか、そして結局は自分以外の誰かに解決してもらって丸く収まる・・、こういうパターンなのね。

 いちおう元彼女だからこんな書き方すべきじゃないだろうし、筆者もまずはヒョンファの突然の訪問を喜んであげるくらいすべきだったろうけど・・目下韓国が様々なアタマが回ってない事をするのを見るにつけ筆者は24年前のヒョンファが突然現れた瞬間を思い出す。ありゃ本当にサプライズの、でも困ったエイプリルフールだったな。
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「当社の調達マネージャーだったジェイク・チューは数々の不誠実な行為を働いていた事が発覚したため〇月〇日に解雇を言い渡しました。なおこの人物が同じ業界に再就職をする可能性が高いため、その場合は・・」というようなファックスやメールが筆者がいた香港支店にくる度に「またかよ」と思ったものである。

 これ暴力団の世界なら破門状とでも言うのだろうか。そこには名前だけでなく生年月日や身分証明書番号まで書いてあるから効果は絶大であり、こうなるとジェイク・チュー氏は噂が伝わらない他の国や、或いはそういうのばっかり集まってるブラック企業に職を求めるしか無くなるのである。

 筆者の経験だと募集面談に来た人間がなかなか良いのだが、職歴を訪ねるとなぜか怪しい空白期間があって問いただしても言いたがらない・・、それで人事担当に調査させたところ直ぐに回状リストに載ってることが判明し、またこいつが渋々語った別の会社に電話したら「アイツは絶対に雇うな!」と忠告されたりしたことが度々あった。

 顧客からバックマージンを取っていたり、インチキ経費でカネをせしめる、顧客のカネに手を付ける等々どうしようも無い連中である。で、金額がデカければ警察にしょっぴかれて前科持ちになるわけだが、狡賢い連中は塀の向こうに落ちない様に金額を抑え気味にやるから困りもので、そういうのが日本企業に集まって来るのね。

 日本人は揉め事を嫌うからちょろいよ!騙すより騙される人間になれって本気で思ってやがるんだな!これがワルたちの日本人評で、筆者も何度かこういう表現を聞かされたものだが、しかし長年香港にいたおかげでそうした日本企業の中にも付け入られやすい企業とそうでないがある事が段々わかって来るのね。

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例えばプレイング・マネージャー、つまり課長とか部長だけど自分自身も営業や調達の実務を持っている社風の会社である。ある会社は仕入れ総額の80%を占める2部品は必ず支店長自らが価格交渉しており、そこで相場や需給見通しなど色んな情報を聞き取れるからワルたちが入り込む余地がかな~り狭いのだ。

 しかし「しっかりきっちり管理」が社風の会社だとマネージャーは外に接せずオフィスに籠りがちになり、これって部下たちが持ってくる情報の中に閉じ込められてしまうから、業全体に値下がりしてるのに昔の高い価格のまま買ってたり、電力供給の悪化で○○の素材価格が高騰し・・なんて嘘のデータを信じて+5%の値上げなんか飲んじゃうのよね。

 これ、なんのことはない5%キックバックとして部下のポケットに収まるだけなのだ。キッチリ管理の社風を掲げている割に部下の不正に目が届かなくなってしまうとは何とも皮肉だけど、こういう会社って細かい管路目標が多すぎて埋没しちゃうから現業が見えなくなっちゃってるのだ。

 それとトップ(支店長)から末端社員までの階層がやたらと多い会社、これもダメである。現地社員の長老組はたいてい「○○君は自分の直属の部下だから指示する時は自分を通してくれ!」と文句を言い、そこに中国人のメンツの問題とかねちっこく絡めてくるのだが、社内不正が起こるのは大抵がこの現地社員の縄張りの中なのだ。

 だからこういう場合は自分(日本人支店長)はこの支店を統括する義務があり、よって部下により制約されるつもりはないからイヤだったら辞めてくれ!と言えばよいのだ。それで相手がウジュウジュ言うようなら妥協せずに明日辞表を出すよう申し渡せば良いし、大抵の場合は辞めずに残るが、その際にその人物が持ってる特権とか特別価格など例外措置を潰していくことが必要である。

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 それと営業成績を社内にでかでかと貼り出すなり、毎年何人かのダメ社員を解雇するのが日常化している会社も案外と不正は少ないのだ。なぜならこういう会社は出来る奴には給料をたんまりと払うものだし、それに現地人社員たちはカネを盗むよりも職をつなげる方に目標が移っていくからである。

 その一方年功序列で人情経営の会社だと上の方にいる現地人はのんべんだらりとしてしまうし、何人かの日本人上司を体験することで日本人の思考的限界を学んでしまい、また中間や下の方にいる人間は「この会社にいても良い思いができるのはずっと先だ!」と思って手っ取り早く自分の懐を肥やすことを考え始めるのよ。

 あと組織変更が盛んである会社とない会社とか、日本人駐在員の任期が長さとか他にもいろんな要因があるのだが、要するにオレたちは監視されている!揺さぶられている!と思わせる事が肝心で、それが出来なければ毟られていくしかない訳だが、でもこういう考え集って日本人の美徳とは矛盾するわけですよ。

 特に義理と人情、体育会的メンタリティーが強い国内営業部や生産技術部出身なんて人ほど拒否反応が大きいのだが、生ぬるにしておいても社員はそこそこ働いてくれる!と期待できるのは日本くらいで、日本だって終身雇用や厚生年金なんて社会保障の裏付けがあるからなのだが、こういうのを失念しちゃってる人多いのよね。

 社内制度だけでなく部下の管理も性悪説を前提にする事!残酷な様に思えるだろうが、実際に欧米企業のガバナンスはこの前提に立っているし、それに韓国や中国企業なんてもっとエゲツないではないか。だから駐在員たちも嫌だろうけどここは心を鬼にして現地人たちを「監視」するように心がけましょう。
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韓国の新聞に「我が民族は世界中から尊敬されている!」といういつものパラノイア記事が出ていた。韓国はその高潔な民族性と国際協調意識、そして経済活動における弛まぬ努力と・・という論調で自己陶酔しているのだが、そこに「反日の空気が支配的な香港では特に韓国の評価が高く・・」と言うのを読んで大笑いしてしまった。

 今まで何度か日記に書いたが筆者は16年間香港に住んでいて、ただの一度も「この日本人!」と卑下されたことはないのだ。そして意外かもしれないが実は中国でも同じことで、反日デモが荒れ狂ってる最中にも深圳の取引先と毎日商談していたし、危ない目に遭った事などただの一度だってないのである。

 もちろん自分たちより金持ち国に対するヤッカミから皮肉を聞かされることは数回あったが、しかし中国圏の人々は基本的には親日的であり、騒いでいるのはごくごく一部のプロ市民だけであり、一方韓国人に対する思いはどうかというと、これはもう圧倒的多数が「韓国は嫌い!」か「大嫌い!」のどちらかである。

 とくにビジネスマンたちは「韓国人はカネでトラブるから絶対商売するな!」いう雰囲気が鉄則であり、毎年香港で開催される展示会でもブースに入ってきたのが韓国のバイヤーと知れるや一気に態度が変わるのが常なのだが、この韓国人嫌いムードにさらに拍車をかけたのが2005年12月に起こったWTO反対暴動である。

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香港で開かれていたWTO閣僚会議への抗議から、世界各国の半グローバリズム団体は続々と運動家を送り込んで会場近くでデモを行ったのだが、そこにどう見ても農民には見えない千数百人の韓国農民チームが押し寄せ、WTO会議の初日から大勢で海に飛び込んだり、許可も取らずに大通りを練り歩いて大渋滞を引き起こしたのだ。

 いくら国際都市とはいえ電車で1時間乗れば労賃が十分の一以下の中国があるのだから香港市民もWTO反対デモには割合と温かい目を向けていたのだ。だから同じくデモに参加していたオーストラリアや東南アジア組みたいに整然としたデモやってれば良かったのだが・・韓国組がすべてぶち壊したのである。

 ある日突然激高した韓国人千数百人が暴徒化し、WTO会場である香港島中心部のワンチャイを破壊しまくったうえ一帯を封鎖してしまったのだ。そしてその日は平日で筆者は会社に居たのだが、支店の総務課長から「暴徒の占領地域が徐々に広がって、もうじきアンタの家まで封鎖されるからら今すぐ帰れ!」と言われたのである。

 慌てて地下鉄に飛び乗って我が家を目指すと「ワンチャイ駅周辺は異常事態にあるので通過します!」とアナウンスが入り、そしてプラットホームに残された哀れな香港人たちを尻目にスカッと通り過ぎてしまったのだが、次のコーズウェイベイ駅で降りて我が家へと向かうと100メートルほど先で警官隊が韓国人に催涙弾を撃ちこんいるところであった。

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 こりゃ洒落にならんぞ‥と思い慌ててアパートの部屋に入るや女房がテレビ中継を見ていて、警察が2つ先の○○通りを拠点にしたそうだからコッチは安全だって!と悠長な事を言ったのだが、この時の香港警察の動きは実に見事であり、おどろくべき速さで数千人の武装警官を動員するや韓国人デモ隊をじりじりと囲い込んでいったのだ。

 で、その包囲戦は一晩中続き、ワンチャイ地区は80年代のベイルートみたいになってしまうのだが、この晩あるテレビ局がデモ隊に突撃取材した際に彼らの正体は韓国の農民でもなんでもなく、単に香港を破壊し混乱をもたらしたいだけの政治運動家であることが徐々に判ってきてしまい・・香港人たちはなにか異様なモノを見た気になったのだ。

 それまで白人相手に流ちょうな英語をしゃべっていた韓国人がTV局のマイクを向けられるや急にハングル語だけしかわからないフリをし、農民なのに全員が実にキレイな手指の持ち主である事、さらに奇妙なほど警官隊との戦い方が巧妙なこと等々が判ってきて・・香港中が「これは偶発的ではなく予め計画されていたのだ」と確信したのだ。

 で、結局デモ隊の封鎖は翌朝の警官隊の突入で鎮圧されてしまうのだが、その後に韓国側の代表団は人権弾圧だ!香港人は資本主義の手先だ!等々の批判を繰り広げ、しかしそのあまりに常識から逸脱した論調から、これ以降香港人たちの間には「カネ払わない」「自分勝手」の他に「不気味」という民族イメージが付与されてしまったのだ。

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なお香港はもともと中国共産党の浸透工作の拠点だけあってプロ市民は沢山いるし、天安門事件追悼集会で気炎を上げている男が数か月後には反日デモで縁台に立っているみたいなヘンテコリンな出来事は沢山あるし、日々の商売で裏切りやデマを目にしているから田舎のおばあちゃんみたいに神経がヤワなわけではない。

 しかし法輪功にせよ中国の学生にせよあくまで香港のルールに乗っ取った形でデモを行っていたわけで、そこへ他人様の国に乗り込んで街をぶっ壊しても構わないのだ!オレたちが正しいのだから弁償する必要はないが、一方自分たちが怪我したら香港政府は土下座しろ!と喚きたてる韓国人たちを目にして一気に嫌韓に染まったのだ。

 これ以降香港人の間では韓国人「どうしようもない民族」というイメージが定着し、車でも料理でも観光旅行でもKポップも非常に低評価&低空飛行を続けているのだけれど、それを「反日意識の強い香港では韓国が圧倒的に・・」と書くとは、一体このバカチョン新聞の記者は何を調べてきたのだろう?

 まあ何でも自分の都合の良いように解釈するパラノイア民族ゆえ、壊れた頭に浮ぶ歪んだ虚像に耽溺してるのだろうが、旧正月休みにミョンドンやカンナムに何で香港人がこんなにいないのか?くらいは判りそうなものだが・・・そこらへんを歩いてる近所の韓国人も外国人観光客像に脳内処理されちゃってるのかもしれないね。
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今から30年近く前、当時の日本企業は世界で最も進んでいる!と言われていた事から世界各国が若年人材を企業研修に送り込んでいて、一応筆者のいた会社もそれなりに知名度があったから毎年何人かを受け入れていたのだが、フランスから来たエリオット君もそうしたうちの一人だった。

 当時の企業研修は受け入れ側に何もかもお任せなところがあって、なんせ叩き上げの技術を大事にする企業文化ゆえエリオット君は最初の3か月は製造現場でブルーカラーの女工たちと一緒に作業をさせられ、その後は品質保証とか生産技術、設計開発から業務なんかを一通り学んでいったのだ。

 1970年代から海外進出していた会社ゆえ英語が得意な人間が社内に多く、また筆者ら若手社員のうち英語が得意な人間がこぞって呑み会やスキーなんか連れて行ったからエリオット君はコミュニケーションに困る事も孤独に苛まれることも無かったのだが、しかし彼には一つだけ恵まれない事があったのだ。

 彼は大学ではなくグランゼコールの学生だったのだ。これ今じゃ筆者だって知ってるけど、イギリスのオックスフォード大学にドイツのハイデルベルグ大学などどの国でも最高学府は大学であって、当然フランスではソルボンヌ!と相場が決まっていたのだが、一方グランゼコールって一体何なのか誰にもわからなかったのだ。

 もちろん本社の人事部はそんな事ちゃんと知ってたのだろうけど、送り込み先の新潟県の開発センター兼エレクトロニクス工場には伝わっておらず、いや伝わっていたとしても田舎の総務課長には何が何だかさっぱり判らず、それで本人が「フランゼコールとは大学と違うプロフェッショナル育成機関である!」というから・・高専の学生と訳されてしまったのね。

 「高専の学生なのにハンダ付けも出来ねえのか!」と文句を言う高専卒の工場主任たち。しかしエリオット君はそうした罵声にも屈せずに黙々と工場で学び続け、無事1年の研修を終えてフランスへ帰っていったのだけれど、筆者たちがどれだけバカな間違いをしていたのかを知ったのはそれから数年たってからの事だった。

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 フランス・アルザス地方の顧客であるレミが「自分の息子は頭が良いのでグランゼコールに進ませるつもりだ」と言ったのだが、この時「だったらパリの大学か自宅から通えるストラスブール大学に行かせれば良いじゃないか?」と言ったところ、レミは筆者の顔を見て「あのねえ・・」と語り始めたのだ。

 この学校についてはカルロス・ゴーン逮捕のニュースで既にご存じだろうから詳細は省くが、フランスの高校生が100人いるとするとトップ5人は全国に200近くあるグランゼコールに進学し、6番目以降が順次ソルボンヌやリヨンなんかの国立大学へ行くのだけれど、そもそも何でこんなことになったのか?というと大学が駄目になってしまったからだ・・と言ったのだ。

 半世紀前のフランスでは最も優秀な人間はソルボンヌに行くのが当たり前だったが、アカデミズムの殿堂という地位を良い事に教授たちがすっかり怠惰になってしまったこと、また学生たちが自治を逆手にとって政治運動の巣窟と化したため、フランス全土の大学は教育機関としての質が大きく落ちてしまったのだそうだ。(他に大学の統合とか大学法の不備とか話していたが忘れてしまった)

 それで国なり企業はちゃんと勉強した人間を採用しようとグランゼコール重視になったそうなのだが、この両者の関係って戦前の日本の教育機関に例えるとソルボンヌら大学は日本だと旧制帝国大学とするとグランゼコールは高等商業学校(現一橋大)や高等工業学校(東工大)、高等師範学校(筑波大)に相当する、つまり一般教養(リベラルアーツ)過程を除いてあるから正直大学より一段下に見えるのよね。

 さらに戦前の日本と同じくグランゼコールは大学では無いから学士とか修士、博士などの学位を授与できず、よって学位重視の海外で活躍するためには通った事もない大学に論文を送り付けて学位授与してもらうそうなのだが、なるほどエリオット君の履歴書にはBAとかMAなんてのが無かった理由がその時やっとわかったのである。

 「まったくフランスの高専じゃ何を教えてんだか・・」と主任たちがぼやくのも当たり前、だってエリオット君は高校卒業後にいきなり東工大の大学院に飛び級進学したのと同じなのだからハンダ付け作業なんぞ絶対にやりっこなかったのだ。しかし一切言い訳せずに黙々と日本の現場を学んでいったエリオット君は実に立派であった。今ごろ大手企業の副社長くらいになってるんだろうな。
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(前日からの続き)日本と違い香港でも中国でも取締役Directorは株主配当のみで原則給料無しである。ところが今後2~3年間は赤字続きになる気配が濃厚なのだから俺たちをVice PresidentとかGeneral Managerなんて雇われ人にして給料出せば補填できるだろ!という理解しがたい事態が起こってしまったのだ。

 商品開発や営業に十年以上眠っていた人間を持ってくれば会社がガタガタになるのは必至である。それに株主は好景気の時はたんまり不労所得を得ているのだし、ビジネスには春夏秋冬があるものと割り切って冬眠してればよいものを、お呼びじゃないのがしゃしゃり出てきた上に若衆の吊るし上げ始めたのだ。

 そのやり口ときたら、これが天下のZ財閥出身のエリート社員か?と口をあんぐり上げてしまうほどエゲツ無いもので、筆者はここで朝鮮民族の陰湿さと執拗さを垣間見たのだが、しかし今日の日記はアンドリューからこれは省くことにする。なぜなら書きたいのは彼との最後の気まずい食事の際に行った「オレは韓国には帰らないよ」という一言だからだ。

 自分の車からテレビ、オーディオに至るまで全てメイド・イン・コリアの愛国者なアンドリューだが(ただし偏狭な反日主義者ではない)、実は彼と酒を酌み交わす度に「自分は韓国に戻る気はない」と言っていたのだが、これIMF管理下で失業が多いからとか折角海外に出れたからチャンスを生かしたいのだ・・と言うような風では無かったのね。

 アンドリューと出会う10年前に筆者は韓国女と付き合った事があって、韓国には歴史的に奴婢的な被差別層があって、それは今でも怨嗟のように続いている事は知っていたが、しかし超大手財閥採用のアンドリューは筆者の彼女とは違ってヤンパン(貴族や地主など支配階級)だと思っていたからアンドリューの捉える韓国象について突っ込んでは聞かなかったのだ。

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しかしZ社の株主たちが現場を仕切って来た若手を陰湿な手法で追放しつつあるのをアンドリューから聞いた瞬間に、韓国ではどんな小さなコミュニティでもヤンパンと奴婢の主従関係が形成され、そしてヤンパンたちは自分たち以外を幸福にしよう!という発想がそもそも欠落した搾取するだけの、暴君でしかない事が浮かび上がってきたのだ。

 そして実はアンドリューとの食事で最もつらかったのは、予想したやけ酒飲んで悪態を喚き散らすような事はせずに、Z社が自分の悪評をまき散らすだろうから同じ業界にはもういられない事、だから別の国で別の仕事をすることになると最後の最後まで紳士的な態度でいようとした事であった。

 今までありがとう・・と半泣きで筆者に感謝を述べていたアンドリュー。あの時の悲痛さと何とも言えない気まずさは今でも忘れられない。その後Z社ソウル本部は粛清の嵐が吹きあれ、やがてアンドリューら若手幹部たちの不誠実さをなじった通達文書とダラ幹の見本のような男が後任者で来た時に筆者は失望したのだ。

 それで筆者は昇格した折にZ社の担当を部下の中で最も見込みのないMに押し付け、案の定Z社のダラ幹とダメ社員Mはいろいろやらかして関係は次第に疎遠になっていったが、そしてそれ以降の展示会や商談の場でかつてソウルや香港、ハノーバーで一緒に酒を酌み交わしたZ社の若衆の姿を見かけることは一切なくなってしまったのだ。

 多くの人間が必死になって支えてきたのに、それに報いようともしない社会。そして歯向かわない様に悪意あるデマを業界全体に流布して潰す社会。人を幸せにしない社会、歪んだプリズムのような社会、それが韓国である。あのアンドリューとの最後の別れの席の事を思い出すたびに、そういう残酷な姿が頭をよぎる。

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